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マリーナ・タバサム・アーキテクツ展:People Place Poiesis(ピープル プレイス ポイエーシス)

展覧会コンセプト
People Place Poiesis

People|人々
私たちは人々のために建築をつくる。彼らの願いや夢は、建築の創造的な表現を通して顕在化する。彼らがその空間を自らのものとして活かすことで、空間は生命を宿し、時間とともに成長し、姿を変えていく。空間は人間の行動に影響を与え、その行動を形づくることで、空間を生きる者の集合的な記憶や文化を変容させる。

Place|場所
場所はコンテクストを生み出す。地理と気候は、文化を通して表現される人々の独自性を特徴づける。場所は多様性をもたらす。建築の言語は、素材の組み合わせ、気候への対応、そして文化的表現によって定義される。
バングラデシュは、ガンジス川のデルタ地帯とヒマラヤ山脈に囲まれた人口1億7000万人の国である。肥沃な沖積土、亜熱帯の気候、豊かな水を湛える平野は、自由を愛するベンガル人の心のよりどころであり、またこの地は文学、音楽、食、テキスタイルなど豊かな文化を育んできた。建築は、土を素材とした質素なものから始まった。土でできた住居は何世代にもわたって受け継がれ、今日に至っている。

Poiesis|ポイエーシス
古代ギリシア哲学に由来する「ポイエーシス」は、芸術的表現、知的な取り組み、あるいは科学的発見を通してものを存在せしめる過程と結果の両方を包含している。本質的にポイエーシスとは、新しいアイデアを生み出し、芸術と建築を創造し、有意義な表現を生み出す人間の創造力を体現したものである。

「People Place Poiesis」展は、ベンガル・デルタの独自性に応える建築を探求するマリーナ・タバサム・アーキテクツの取り組みを紹介し、人間の活動、場所、創造的な表現が相互に結びついていることを明らかにする。私たちは、敷地やその周辺の地域社会と密接に連携し、当事者意識を高めるため、多くの場合、設計や建設のプロセスに地域社会の参画を得ている。私たちの建築実践は、地元の材料や建築・工芸に関する知識を活用することに重点を置いており、長いサプライチェーンを減らして地域経済を活性化させるだけでなく、その土地の独自性から生み出される建築言語を尊重している。

私たちはこの展覧会を通して、バングラデシュのさまざまな面を日本の皆様に紹介し、お互いの文化に深い敬意を払いながら、より大きなコミュニティとしてひとつにつながるための共通の基盤を見つけていきたいと願っている。
マリーナ・タバサム
出展者プロフィール
マリーナ・タバサム
バングラデシュ出身の建築家・教育者。2005年、ダッカに自身の建築設計事務所「マリーナ・タバサム・アーキテクツ(Marina Tabassum Architects)」を設立。 現在オランダ・デルフト工科大学で教授を務めるほか、イェール大学建築学部、ハーバード大学デザイン大学院、ベンガル・インスティテュートなどで教鞭を執る。ドイツ・ミュンヘン工科大学より名誉博士号を授与。アガ・カーン建築賞に加え、ジャミール賞、アメリカ芸術文学アカデミーによるアーノルド・ブルンナー記念賞、フランス建築アカデミーの金賞、イギリスのソーン建築賞など、受賞歴多数。建築と地域の公平性を支援する団体「F.A.C.E(Foundation for Architecture and Community Equity)」およびフェアトレード団体「Prokritee」代表。2017年から2022年まで、アガ・カーン建築賞の運営委員を歴任。英国王立芸術協会(RSA)フェロー。
© Asif Salman