展覧会について
あいまいもこ――象設計集団のA to Z
TOTOギャラリー・間では、象設計集団(ぞうせっけいしゅうだん)の展覧会「あいまいもこ――象設計集団のA to Z」を開催いたします。
戦後日本を代表する建築家・思想家の吉阪隆正(よしざかたかまさ)(1917-80年)が率いた「U(ユー)研究室」出身の富田玲子(とみたれいこ)氏、樋口裕康(ひぐちひろやす)氏、故・大竹康市(おおたけこういち)氏、そして重村 力(しげむらつとむ)と有村桂子(ありむらけいこ)が加わり、1971年に発足した象設計集団は、集団のかたちや活動拠点を広げながら、56年にわたって多層的な建築活動を各地で展開し続けています。
象設計集団が1970年代から80年代初頭に取り組んだ、沖縄での2つの初期代表作「今帰仁村中央公民館(なきじんそんちゅうおうこうみんかん)」(1975年)と「名護市庁舎(なごしちょうしゃ)」(1981年)は、自然エネルギーを活かし、沖縄の気候風土に応える傑作として、建築史に刻まれています。これらの実現の背景には、本土復帰直後の激動の沖縄に身を投じ、人びとの暮らしや沖縄のかたちと向き合い、地域主義的な建築のあり方を問い続けた彼らの信念がありました。
この沖縄での経験から象設計集団は、現場となる土地を徹底的に歩いて自らの足で地域の課題を掘り起こしていく「発見的方法」と、自らの地域を自らの手でつくり上げていく哲学「自力建設」を掲げつつ、主に日本およびアジア圏においてその活動を展開していきます。
1980年代後半には、民主化が花開く直前の戒厳令時代に台湾に招かれ、台湾東部・宜蘭(イーラン)県に事務所を開設。「宜蘭県庁舎・県史館・県議場」(1997年・2001年)ではランドスケープと建物を一体化し、権威の象徴としてではなく住民に向けて開放され運営される庁舎を実現し、以来30年にわたり携わり続けています。
1990年代には、バブル経済が弾けた東京から北海道・十勝に移住。廃校舎を拠点としながら、厳寒の気候や圧倒的な自然とともに生きる建築やランドスケープの在り方を提案しています。夏冬のワークショップには、象設計集団の生き方に賛同する多くの若者が集まり、自力建設に取り組みました。
1994年から再び活動を始めた東京事務所では、1980年代に埼玉県宮代(みやしろ)町に招かれて手掛けた「進修館(しんしゅうかん)」(1980年)や「はだしの学校」として自然とともにある教育施設の先駆けとなった「笠原小学校」(1982年)に連なるように、数多くの公共建築や教育・保育施設、住宅などを手掛け続けています。
「あいまいもこ」とは、象設計集団が思想の根幹としている「7つの原則」、すなわち「場所の表現」「住居とは何だろう? 学校とは? 道とは?」「多様性」「五感に訴える」「自然を受けとめ、自然を楽しむ」「あいまいもこ」「自力建設」のひとつです。大地を歩き、矛盾と付き合い、混沌の中に発見と議論を重ねることによって生まれ出でくる象設計集団の建築の姿を、沖縄・十勝・台湾・宮代での歩みとともに、AからZで始まる26の言葉で紐解きます。
変動する社会の中で、私たちはどう生き、どのような場所をつくっていくべきか。この問いに設立時から実直に向き合ってきた象設計集団の活動の軌跡をたどることで、今、私たちが見つめるべき建築のあり方を問い直します。
出展者のメッセージ
あいまいもこ――象設計集団のA to Z
象設計集団の、名前の由来をよく聞かれます。次のように説明します。
1971年、富田玲子、樋口裕康、大竹康市の3人がU研究室から独立して事務所を立ち上げたとき、3人の頭文字を取って「THO」という事務所名をつけましたが、読みづらかったので、THO→ぞ→象→象設計集団になりました。
56年前のことなので、本当のところどうだったか、記憶があいまいです。
3という割り切れない数字からスタートしたことは重要でした。3人から始まって、多くのメンバーが参加し、チーム――集団での設計を続けてきました。チームみんなで土地を歩き、それぞれ何かを見つけ、手を動かし、見つけた言葉やスケッチを出し合い、話をし、共有事項を増やしていき、そこから強いひとつのカタチが浮き上がってくることもあり、割り切れない要素を残して「あいまいもこ」で不思議なモノが生まれることもあります。
この展覧会で、56年間の活動を、私たち自身も楽しみながら振り返って、以下のことをお見せしたいと思います。
「象設計集団のA to Z」は、活動を通して大切にしてきた設計の理念や方法を、AからZのアルファベットを頭文字とする26の言葉と図版にして、26本の赤い柱に載せたものです。
「カタチ」、「ショウ」という広がりのある「象」の文字に、私たちの活動の広がりを乗せて展示します。
1972年沖縄返還、1987年台湾の戒厳令解除、1991年バブル経済の崩壊と十勝。3つの地域、3つの時代と象の活動。
また、人間の身体と五感と建築との関係性を掘り下げた近年の事例。
さらに、建築が市民と連動して生き続け、成長している埼玉県宮代町の50年について。
象設計集団の「あいまいもこ」を、多くの人に感じていただくことを願っています。
出展者について
1971年、吉阪隆正のU研究室※1から、富田玲子、樋口裕康、大竹康市の3人が独立し、重村 力、有村桂子が参加し、象設計集団を設立。早稲田の寺の墓地にあるプレハブ、新宿歌舞伎町の空きビル、落合の倉庫の2階、高円寺の雑居ビル、と事務所移転を繰り返し、東京がバブル経済の狂乱の中にあった1991年、東中野の大きな邸宅で同居していた高野ランドスケーププランニングと共に、北海道十勝音更町(おとふけちょう)に移転。また、1987年から台湾での設計活動をスタート。現在、岩田英来、関 郁代、北條健志の3人が代表を務め、北海道十勝、東京、台湾宜蘭(イーラン)県の3拠点で活動している。住宅、高齢者施設、保育所などこども施設、街づくり、公園など、さまざまなスケールの計画で、地域、環境、人びとの営みと向き合い続けている。
主な受賞に、第27回芸術選奨文部大臣新人賞(今帰仁村⦅なきじんそん⦆中央公民館)、第33回日本建築学会賞作品賞(名護市庁舎)、第1回いしかわ景観大賞(縄文真脇温泉)、国家卓越建設賞金質賞(台南塩水⦅イェンスイ⦆小学校)など。
TEAM ZOO(チーム ズー)とは、象と、イルカや熊やありんこ……、仲間の事務所があいまいに集まって自称他称するチーム名。また、サッカーチームの名前。全日本設計事務所サッカーリーグ
創成時に2連覇。
※1
ル・コルビュジエのもとから帰国した吉阪隆正の早稲田大学「吉阪研究室」を元にして、1964年に設計事務所として設立。
講演会
象設計集団講演会「あいまいもこ――象設計集団のA to Z」
お申し込み受付前| 日時 | 2027年2月5日(金)16:30開場、17:30開演、19:30終演(予定) |
| 会場 | 建築会館ホール(東京都港区芝5-26-20) |
| 定員 | 300名 |
| 参加⽅法 | 参加無料/事前申込制 TOTOギャラリー・間ウェブサイトよりお申し込みください。 申込期間:2026年11月30日(月)ー2027年1月24日(日) 応募者多数の場合、抽選の上、1月29日(金)までに結果をご連絡いたします。 |
| 注意事項 | ※当講演会では未就学のお子様連れのお申し込みはご遠慮いただいております。 ※プログラムは予告なく変更する場合がございます。 |
展覧会情報
| 展覧会名 | あいまいもこ――象設計集団のA to Z |
| 会期 | 2027年1月14日(木)—3月21日(日) |
| 開館時間 | 11:00–18:00 |
| 休館日 | 月曜・祝日 ただし3月21日(日・祝)は開館 |
| 入場料 | 無料 |
| 会場 | TOTOギャラリー・間 |
| 主催 | TOTOギャラリー・間 |
| 企画 | TOTOギャラリー・間運営委員会(特別顧問=安藤忠雄、委員=貝島桃代/平田晃久/セン・クアン/田根 剛) |
| アドバイザー | 貝島桃代 |
| 協力 | 北田英治/春井 裕 |
| 後援 | 一般社団法人東京建築士会/一般社団法人東京都建築士事務所協会/公益社団法人日本建築家協会関東甲信越支部/一般社団法人日本建築学会関東支部/公益社団法人日本建築士会連合会 |
〒107-0062 東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分









