安全性とプライバシーに配慮した幾何学的空間

東三丁目公衆トイレ/田村 奈穂

2020.11.24

恵比寿駅から渋谷側へ徒歩約3分の商業エリア・オフィスエリアに位置し、通行人の利用も多い公衆トイレ。細長い三角形の敷地に対して、海外からのビジターへのおもてなし、また利用する人々を包み込む安全な場所としての意味を込め、日本の贈り物文化のシンボルである「折形」からインスピレーションを得た幾何学的な造形を空間化。利用するだれもが快適な気持ちを得られるように、プライバシーと安全を確保した個人の空間を再定義して3つの空間をデザインしている。

赤と白のコントラストが特徴の建物

外壁色には、心理的に緊張感を持たせるアラート色である赤を選び、少しでも出来心で犯罪が起こらない様にというクリエーターの思いが込められる。パブリックな空間に赤、プライベートな空間に落ち着きと明るさを担保できる白と、色のコントラストが特徴的。夕闇に浮かび上がる外観の赤色と清潔感のある白色の室内からの光が、夜間に屋外トイレを利用する際にも恐怖心を覚えることがないよう、子どもや女性にも安心して利用できるよう配慮されている。

誰でもアプローチしやすい折形のデザイン

多機能トイレ・男性トイレ・女性トイレの3つの空間が均等なバランスで配置された、一見ギャラリーのようにも見えるこのトイレは、壁や天井に現れる物理的な厚みを極力感じさせないよう、薄い紙を折ったようなデザインになっている。どの位置からも空間が分かれているのが見てとれ、昼夜問わず白色の室内が入口への誘導役にもなり、各トイレへのアプローチがしやすい。

社会で共有するトイレ

3つの異なる空間は、清潔感、落ち着きと明るさを担保できる白色で統一。多機能トイレは、車いす使用者の方やオストメイトに配慮したスペースを確保し、コンパクト多機能トイレパックを設置。女性トイレは、安全性・プライバシーに配慮した個室完結型で、排せつから手洗いまで一連の動作が個室内でできる仕様。男性トイレの小便器は、シンプルな意匠、先端の機能性を備えたRESTROOM ITEM 01小便器を採用した。各トイレ入口に設置されたピクトグラムは、建物の正面からもわかりやすく、周囲を行き交う人々や訪日外国人などだれでも利用しやすい配慮がなされている。

田村 奈穂

プロダクトデザイナー。
New York City, Parsons School of Designを卒業。
工業デザインを専門にする米国のスマートデザイン社を経て独立。現在はニューヨークを拠点に、ISSEY MIYAKEの時計から、パナソニックのグローバル展開、レクサスのインスタレーション、パリPalais De Tokyo美術館での展示など、コミュニケーションデザインを軸に幅広く活動中。IF Design Award (独), Red Dot Design Award(独), IDEA (米), ミラノサローネサテリテ最優秀賞(伊)他、国際的なアワードを多数受賞。

この記事は役に立ちましたか?

※ひとつだけ選択してください。

内容についてのご感想、また今後取り上げてほしいテーマ、ジャンルがありましたら、ご記入ください。

あなたの業種は何ですか?

※ひとつだけ選択してください

RECOMMENDED

Share
  • Facebookでシェアする

CLOSE