もっとつながろう、もっと楽しもうユニバーサルデザインStory
未来へ歩むヒト・モノ・コトを紹介するコラムです。
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2025年大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオン「みんなトイレ」は、大阪パビリオンUD推進チームのメンバーである車いす使用者、視覚障がい者、聴覚障がい者、精神障がい者、知的障がい者、発達障がい者、LGBTQ、医療的ケア児、子育て世帯のさまざまな障がいや特性のある当事者22名とワークショップを重ね、「だれもが使いやすい、ミライのトイレ」をめざして設計・施工・運用されました。その過程ではどのような意見が交わされ、完成したトイレはどのように利用者に受け入れられたのでしょうか。企画・設計に携わった公益社団法人2025年日本国際博覧会大阪パビリオンの北村伸子さんと、TOTOの仲川亜希に話を聞きました。
公益社団法人2025年日本国際博覧会大阪パビリオン 展示調整グループ建築課長代理
TOTO特販本部(関西)市場開発第三部 プレゼンテーショングループバリエーション豊富な個室から自由に選べるトイレ
北村伸子さん(以下、北村)
仲川亜希(以下、仲川)
大阪ヘルスケアパビリオンの「みんなトイレ」のプランについて、教えてください。
大阪ヘルスケアパビリオンは「REBORN」をテーマに、「いのち」と「健康」の観点から、2050年を想定した「未来の都市生活」を体験できるパビリオンです。そこに設けられた「みんなトイレ」の大きな特徴は、入口がひとつで、その空間に各種の機能を持った個室トイレがあり、自分の使いたいトイレを自由に選べるところです。男女共用トイレを基本としながら、図の①〜④には手すりとベビーチェアを設置した個室、⑤~⑧は車いす使用者も使える個室としました。さらに、⑤⑥は着替え台やおむつ替えシート、ベビーチェアなどを、⑦⑧は大型ベッドを設置した個室で、⑥⑦にはオストメイト配慮設備も設置しました。また、身体の片側が不自由な方に配慮し、手すりが右側にある個室と左側にある個室をご用意しました。男女共用に抵抗のある方もいらっしゃるので、男性トイレ・女性トイレのスペースも設けています。また、お子様連れの方々に向けた設備を集約したベビーケアルームもつくりました。
トイレ内マップ(出典/大阪ヘルスケアパビリオンWEBサイト)
1:「みんなトイレ」入口。サイネージ画面で個室の使用状況を表示。2:大きめの男女共用トイレ(バリアフリートイレ⑦)。3:ベビーケアルーム(⑬⑭⑮)。写真右側に個室の授乳室があります。4:男女共用トイレ(①②)。ピクトグラムもわかりやすいものに(写真提供/TOTO)
当初から入口がひとつの男女共用トイレにしようと考えていたのですか?
基本設計の当初案では男性トイレ、男女共用トイレ、女性トイレが並んだレイアウトでした。「未来社会の実験場である万博で、白紙の状態からミライのトイレを考え、発信しよう」と当事者メンバーや専門家と一緒にワークショップを重ねた結果、「入口がひとつの男女共用を基本とした方が多くの方にとって使いやすいのでは」となり、さらに「発想を逆転して、普段あまりトイレに困っていないマジョリティの視点で考えるのではなく、困っているマイノリティの視点を反映しよう」という意見が出て、現在の形になりました。
入口を分けず大きなスペースの中に、選択肢として男女共用トイレ、男性トイレ、女性トイレがある。万博という世界中の方々が利用する場所で男女共用トイレを必要とする少数派に寄り添ったレイアウトをどれだけの人が許容できるのか、というのが今回の大きなチャレンジだったと捉えています。
長期間にわたりプロジェクトをともにして、阿吽の呼吸の北村さんと仲川さん
個室①〜⑧には、「アイキャッチとなるアート」も掲示されていたそうですね。
大阪ヘルスケアパビリオンには、発達障がい、知的障がい、精神障がい、認知症の方などのためにカームダウン・クールダウンルームを2か所つくりました。この部屋の仕様や設備を考える際のワークショップで、気持ちを落ち着けるためにアイキャッチとなるアートが役立つと当事者メンバーからコメントをもらい設置しました。さらに、「発達障がいなどのあるお子様が、保護者が用を足す間も楽しく待てるように、トイレの個室内にもアイキャッチとなるアートが掲示されているといい」とアイデアをもらい、掲示することにしました。
最初は個室⑤〜⑧にだけ掲示していましたが、万博の開幕中のUD推進チームのメンバーによる現地調査の際に、「①〜④も親子で使用する方を見かけたので、ここにも掲示した方がいいのでは」とのお話から、最終的には①〜⑧のすべての個室にアイキャッチとなるアートを掲示しました。
保護者の排せつを落ち着いて待てない子どもの目を引き、楽しく待てるように工夫したアート
利用者は各種の機能を持ったさまざまなトイレから、自分に合ったトイレをどのように選ぶのでしょうか?
「みんなトイレ」入口の左側に、このトイレができるまでのプロセスやトイレのお困りごとを知ってもらうためのコンセプトボードを掲示しました。その右側には視覚障がい者に配慮した触知図と音声案内、中に入った左側の壁には機能や使用状況がわかる空室表示モニターを設置し、各個室の扉の横にはそれぞれの機能を示すピクトグラムを表示しました。
ベビーケアルームにはどのような設備を入れましたか?
性別問わず利用できるようにし、鍵のかかる授乳室、調乳器、おむつ替えスペース、キッズトイレ、ベンチを揃えました。授乳室はお父さんが粉ミルクをあげたり、家族で入ってお母さんが授乳してお父さんが上の子をあやしたり、といったシーンも想定しました。
海外では、家族で子育てすることを前提とした男女共用ベビーケアルームを見かけます。男性も育児をするのが当たり前の時代なので、日本でもこうしたベビーケアルームが増えていくといいのではないかと思います。
さまざまな障がいがある当事者とともにつくるための工夫
このトイレは博覧会協会の「施設整備に関するユニバーサルデザイン ガイドライン(UDガイドライン)」に沿っていますか?
はい。博覧会協会のUDガイドラインには、各項目に「~すること(規制)」と「~することが望ましい(推奨)」の2つの基準があり、「みんなトイレ」では、「望ましい」の基準も可能な限り遵守しています。
個室内の設備やその配置はこのガイドラインに沿ってつくり、UD推進チームのワークショップでは大阪ヘルスケアパビリオン独自の視点でトイレ全体のレイアウトを考えることにしました。
「みんなトイレ」の設計のプロセスを教えてください。
2022年3月に当事者メンバーへのヒアリングを経て、トイレのテーマを「だれもが使いやすい、ミライのトイレ」、コンセプトを「トイレの既成概念を変える、チャレンジングで心に響くトイレ」、「みんなが自然に使える、壁・境界やバリアのないトイレ」、「人の気持ちに寄り添った案内と設備を設けたストレスフリーなトイレ」とし、トイレに対する意識と行動の変容をうながす新しい実験的なトイレをゼロから考えようということになりました。
このコンセプトのもと、8月に「みんなでトイレプラン作成チャレンジ」として当事者メンバー参加のワークショップを行いました。UD推進チームのメンバーには、困りごと当事者として、車いす使用者、視覚障がい者、聴覚障がい者、精神障がい者、知的障がい者、発達障がい者、LGBTQ、医療的ケア児、子育て世帯の22名のメンバーがいます。
当事者メンバーが3班に分かれ、みんなで意見を出し合いながら、ゼロからトイレプランの作成にチャレンジしました。3班から出てきた案を踏まえて、方向性を「ノーマライゼーションを実現するトイレの提案」に決め、快適で使いやすい機能を盛り込みつつ、配慮が必要な方はもちろん、健常者も含めすべての人が使いやすいトイレをめざし、2023年1月にひとつのトイレプラン案が完成しました。2024年2月にトイレの案内誘導や使い勝手を検証するワークショップを開催し、そこで出た意見を反映して、最終プランが確定した後、11月に竣工しました。ヒアリングやワークショップを行った回数は10数回にのぼります。
これまでは、こうした当事者ヒアリングやワークショップは、ある程度プランが固まった段階で実施するケースが多く、内容によっては反映できない意見もあったと思います。今回は基本設計段階から当事者と一緒に考えながらプランをつくっていったので、そのプロセス自体がユニバーサルデザインだったと捉えています。
ワークショップの進め方を教えてください。
トイレの位置と大きさは決まっていたので、その中にどれくらいの数の個室が必要かなどの最低条件だけを伝えて、あとは自由に考えてもらいました。厚みのある図面ボードに個室などのピースを配置しながらプランを検討してもらい、私たちはこれを「福笑い形式」と呼んでいました。


ワークショップでは聴覚に障がいのある方に向けて手話通訳を手配し、視覚に障がいのある方には随時視覚情報を伝えるよう工夫。手で触れてトイレなどの配置を検討できるようにした図面ボードも活用
この形式を採用したのは、普段トイレの設計に関わらない方でも大きさなどがイメージしやすく、視覚に障がいのある方も一緒に取り組めると考えたからです。やはり、音声だけで図面情報を説明するだけでは、なかなか把握しづらいのではないかと思います。図面やパーツには点字のほかに入口の位置を示す突起もつけました。
また、よりイメージが具体的になるよう、プランを考える前にTOTOテクニカルセンターをお借りして、車いす使用者の方や視覚に障がいのある方、医療的ケア児とその保護者などの当事者メンバーが普段どのようにトイレを使い、何に困っているのかを教えてもらう場も設けました。
視覚に障がいのある方でも手で触れてわかるように立体的に印刷した図面も活用
自分の困りごとだけでなく、他者の困りごとも想像しながら
ワークショップを通して印象に残っていることを教えてください。
衝撃を受けたのは、みなさんが真っ先に男女共用トイレのピースを持って、どこにどう設置するか話し合われていたことです。私がこれまでトイレのレイアウトを考える際は、まず男性トイレ・女性トイレをメインに置いて、次にバリアフリートイレ・男女共用トイレの位置を考えていました。男女共用トイレを必要としている人がいることは知っているつもりでしたが、まだまだ実感できていなかったのだと思います。「こんなにも切実に必要とされているんだ」と気づき、大きな学びとなりました。
バリアフリートイレがあっても男女別トイレ内にあると、親子でも「父親と娘」「母親と息子」など異性の組み合わせで介助が必要な場合、お子さんを連れて行けず使えないというご意見がありましたね。
また、発達障がいなど見た目でわかりにくい特性の場合、仕方なく(異性のお子さんを連れて)男女共用のバリアフリートイレに入っていくと、「なぜこっちに連れてくるの?」「もう大きいのに一緒に入る必要があるの?」といった目で見られ、肩身の狭い思いをすることもあるという話もありました。だから、男女共用エリアに(バリアフリートイレとは別に)広めのトイレがあるとすごく助かる、と。当事者の方から直接お話を伺うことで、私も男女共用トイレの必要性を強く感じました。
一方で、「男性とトイレが共用だと、恐怖心を抱く女性もいるんじゃないか」「海外から万博に来る方の中には、宗教上の理由から男女共用トイレに忌避感を抱く方もいるかもしれない」という意見も出ました。視覚に障がいのある女性から「トイレ空間に男性・女性が両方いると不安になる。男女別トイレの方がわかりやすい」といった声が出たときは、「女性トイレも必要だよね」「どうすればアプローチしやすくなるだろう」「男女別のトイレ内にも手洗器を設置した方が使いやすいのでは」という話し合いが始まりました。
みなさん、自分の困りごとだけを主張するのではなく、他者の使いやすさを考えたり、「車いす使用者の私にはこの方がいいけど、あなたの特性の場合だと反対に使いにくいですか?」と質問されたりしていて、「すごく“いい場”になっているな」と感じました。



A班・B班・C班のプラン
当事者のみなさんから出たご意見を、どのように設計に落とし込んでいきましたか?
ワークショップの結果、A班からは介助・同伴利用・トランスジェンダーなどに配慮しすべての個室を男女共用トイレにしたプラン、B班・C班からは男女共用エリアと男女別エリアで構成されたプランが提案されました。これを元に最終プランに取り組んだのですが、これまで思い描いていたトイレとは全く異なるものだったので、とても悩んで、大阪ヘルスケアパビリオンのみなさんと何度も何度もやりとりをしました。
その過程で学識経験者にもアドバイスをいただいたところ、「男女別トイレと男女共用トイレの割合を2:8程度にして、従来のトイレとは違うことを印象づけるのはどうか」とご提案いただきました。そういった考え方はこれまで自分にはなく、とても大きな驚きでした。
また、最後まで迷ったのが、男女別トイレと男女共用トイレの入口を分けるかどうかです。万博には多くの人が来るので、混雑時、明確にエリアが分かれていた方が混乱を生まず、自分に必要なトイレを選びやすいのではないかと考えていました。
でも、入口を別にしてしまうと、日頃男女別トイレを使う人は、せっかく設けた男女共用トイレに気づかない可能性があります。入口がひとつだと待つ列もひとつになり、多様な人が並ぶことになりますよね。その過程で、男女共用トイレの存在にだれもが気づき、その選択肢を必要としている人がいることに自然と気づいてもらえるかもしれない。多様な人がいることに気づいてもらうことも「みんなトイレ」の役割ではないか、という考えのもと、現在の形に近いプランにたどりつきました。
取材中、おふたりは当時のことを振り返りながら話してくれました
決定したプランは、「入口がひとつ」や「機能が分散している」ことから、自分が使用したいトイレがどこにあるのかわかりにくい、また、1列に並んだ場合に、最初に空いたのが希望の個室ではなかったときはどうするのかなど、どのように並べばいいのか難しいという課題がありました。それらの課題を解決するため、再度ワークショップを開催し、サインや並び方などを話し合った後、会議室の床に広げた原寸大の平面図に、当事者メンバーと一緒に実際に並びながら検討しました。
その結果変わったのがベビーケアルームの入口の位置です。検証の際は入口のすぐ右側にスタイリングコーナーがあり、ベビーケアルームにはぐるりと奥に回って入るようなレイアウトになっていました。でも、「車いす使用者がすれ違うには通路が狭い」「動線が重なる」「奥に入口があると急いでいるときに子どもは間に合わないかもしれない」などの声があがり、スタイリングコーナーをなくし、トイレの入口からすぐの場所に変更しました。
また、ワークショップで、並んでいるときに「もしかしたら後ろの人は何か困りごとがあるのかもしれない、広いトイレが空いたら先に案内した方がいいかな」といった譲り合いが生まれるといいな、そのためには、このトイレのコンセプトをしっかり伝えた方がいい、という意見がたくさんあがり、『みんなトイレ』のコンセプトや困りごと、このトイレが完成するまでのプロセスがわかるコンセプトボードを入口に掲示することにしました。
当事者検証を行う前のプラン。この後、スタイリングコーナーをなくし、ベビーケアルームの入口を手前に配置することにしました
作成したコンセプトボード
選択肢のひとつとして、多様なトイレが増えていけば
現地調査ではどのような反応がありましたか?
2025年8月下旬、「みんなトイレ」を利用して出て来られた方400名にインタビュー形式で調査を実施しました。印象的だったのが、「このトイレは戸惑いや抵抗感がなく、自然に使えましたか」という質問に、51%の方が「自然に使えた」、17%の方が「まあ自然に使えた」と回答していたこと。また、「あなたは、このようなトイレが世の中に増えるとよいと思いますか」という質問には、61%の方が「増えるとよいと思う」、17%の方が「改良・改善されれば(増えると)よいと思う」と回答する結果となりました。
具体的にいただいた声を分析すると、目立ったのが快適性を評価する声です。「みんなトイレ」は明るく綺麗で見通しがよく、それが使いやすさにつながっていたのではないでしょうか。「女性トイレの混雑緩和に男女共用トイレが役立つ」というご意見も男女双方から出ました。また、「いまの自分には必要ないけれど、親の介護が始まったらこうしたトイレがあると助かるはず」「色々な立場の人が安心して使えるといい」と回答した方もいました。
一方で、戸惑いの声があったことも事実です。一番は安全面に対する不安ですね。「男女共用となることで不審者が見分けづらくなる」「子ども1人で使用するときに不安」といった声がありました。「そして、どのような工夫があればこのようなトイレを安心安全に使えると思いますか」という質問には、「通路の見通しがよい(死角がない)」「照明が明るい」「各ブースに緊急呼び出しボタンがある」「通路に監視カメラがある」といった回答が比較的多く寄せられました。設計の工夫でフォローできる点はあると感じています。
また、「男女共用トイレは便座が上がっていたり汚れていたりすることがあり、使いたくない」といった声もありました。「男女共用だからいつもより気をつけて綺麗に使おうと思った」とコメントされた男性もいたので、そうした気遣いが広がっていくように期待したいですね。
(資料提供/TOTO)
(資料提供/TOTO)
(資料提供/TOTO)
アンケート結果を踏まえて、「みんなトイレ」のようなトイレが今後どのような広がりを見せるか、おふたりの考えをお聞かせください。
私自身、男女共用トイレにまったく抵抗がないわけではありませんし、普段は女性トイレを使います。ただ、万博に小学生の息子を連れて行った際、混雑した会場で自分が女性トイレに入る間、子どもをひとりで待たせるのは不安だったのですが、男女共用トイレをすぐに利用できて本当に助かりました。私のように普段は男女共用トイレを使わない人でも、必要とする場面がいつ来るかわかりません。選択肢が増えるのは大事なのではないでしょうか。
私は自分が使いたいトイレを選択できる「みんなトイレ」のようなトイレがたくさんできたらいいと思っています。まだ、男女共用ということに抵抗がある方もいるでしょうし、「万博会場内だからよかったけれど、これが街中だと使うのに抵抗がある」と思う人もいるはずです。
トイレはだれにとっても大切な場所です。従来のトイレに困りごとを感じている人がいることをまずは知って欲しいし、いつか自分も困るときが来るかもしれないと想像して欲しい。今回、「みんなトイレ」を通して、「男女別トイレの方が使いやすいと思っていたけれど、家族で同じトイレ空間に入れると(助け合えるので)便利」といった発見をした方もいました。選択肢のひとつとして、こうしたトイレが増えていけばいいと思っています。


「だれかの困りごとを知ることが大事」と北村さん、仲川さん
今後、こうしたトイレを設計する上では、当事者に参画いただくことが重要になるのではないかと思います。その際のアドバイスがあればお願いいたします。
国土交通省が建築プロジェクトの当事者参画に関してガイドラインを出していますが、馴染みのない方が見るとやるべきことが多くハードルが高いように感じるかもしれません。今回、私自身は当事者のみなさんに直接お話を伺ったことで新たな気づきを得ることができましたし、自分たちだけでは到底考えつかなかったトイレ空間を形にできたと思っています。実際に利用者調査も行い、今回のトイレに対して高い評価もいただけましたし、「当事者とともに物事を進めていくことは、より良いトイレづくりにおいて大きなメリットがある」と自信を持って言えます。
「当事者の意見をすべて取り入れることはできない」と尻込みされる方もいるかもしれません。100点満点の施設にできなかったとしても、当事者と一緒に「どうしたら解決できるだろう?」と考えて話し合う。そのプロセスが大事なのではないかと思います。
編集後記2025年大阪・関西万博は、コロナ禍以降沈滞気味だった世の中をぱっと明るく照らす役目を果たしたのではないか、と思います。それは多くの人や企業による未来へのポジティブな挑戦が詰め込まれていたから。この「みんなトイレ」もそのひとつ。これまでにない布陣とやり方で考え抜き、初めての形をつくり上げました。ますます少子高齢化が進む日本で、だれもが自由に動き回るにはパブリックトイレの進化は欠かせません。「みんなトイレ」をステップに、次はさらなる「みらいトイレ」を一緒に考えたいですね!編集者 介川 亜紀
写真/鈴木愛子(特記以外)、取材・文/飛田恵美子、構成/介川亜紀 2026年1月16日掲載
※『ユニバーサルデザインStory』の記事内容は、掲載時点での情報です。